2011/08/21

たんぽぽ





僕たちの旅立つ気配は
誰も気がつかないうちに

だから
 おひさまの暖かさに手足をなげだして
少し驚くかもしれない

いつのまにか
河原をふきぬけるかぜが
5月のにおいを帯びて
「飛び立つのは いまだよ」
と僕にささやきかける

きょう
ひとり風に乗って
誰もしらないところへ

ほんとうは僕たちは
生まれたときから
別れるための約束を
気づかずににぎりしめていたのかもしれない

どこかでまた必ずであう
きっと君に出逢えるように
あふれる想いが
広げたてのひらから風にのって

はるかな空のなかへ

はるかな空のなかへ



「生きること」ただそれだけの約束のために

きょう 届いた 生まれたばかりの君の写真 毎日同じように 繰り返す喧騒 人々が帰りをいそぐ夕方をまわって ひとり  疲れた体で電車に飛びのる頃には たくさんの家々に 暖かなひかりが満ちていて 君がお腹の中から 生まれてくる今日まで た...